UIデザインとは?

UXとの違いから設計プロセスまで徹底解説
Webサイトやスマートフォンのアプリを利用していて、「このサイトは使いやすい」「このアプリは直感的で分かりやすい」と感じたことはありませんか?
その「使いやすさ」や「分かりやすさ」を実現しているのがUIデザインです。
この記事では、UIデザインとは何かという基本的な定義から、混同されがちなUXデザインとの違い、そして優れたUIを設計するための原則や具体的なプロセスまで、網羅的に解説します。
1. UIデザインとは?
まず、UIデザインの基本的な定義から見ていきましょう。
UI(ユーザーインターフェース)の定義
UIとは「User Interface(ユーザーインターフェース)」の略称です。
インターフェースは「接点」や「接触面」といった意味を持ちます。
つまりUIとは、ユーザー(利用者)と製品・サービスとの接点すべてを指します。
UIデザインの定義
UIデザインとは、その接点(UI)を設計することです。
ユーザーが製品やサービスをスムーズに、迷うことなく使えるように、「使いやすさ」と「分かりやすさ」を視覚的に設計することを目的としています。
UIデザインの具体的な例
私たちの身の回りには多くのUIデザインが存在します。
- Webサイト:ボタンの配置、テキストのフォントやサイズ、情報のレイアウト、入力フォームなど。
- スマートフォンアプリ:アイコンのデザイン、画面下部のナビゲーションメニュー、タップしたときの反応など。
これらすべてが、UIデザインです。
2. なぜUIデザインが重要なのか?
UIデザインは、単に「見た目を整える」だけのものではありません。
サービスやプロダクトの成功に直結する、非常に重要な役割を担っています。
ユーザーが目的を達成するための接点
優れたUIは、ユーザーが「商品を購入する」「情報を探す」といった目的を達成するまでの接点となります。
逆にUIが分かりにくいと、ユーザーは途中で離脱してしまいます。
サービスやプロダクトの第一印象と信頼性を決める
ユーザーがサービスに触れた瞬間に「使いにくそう」「怪しい」と感じさせてしまえば、中身がいかに優れていても利用してもらえません。
整然とした分かりやすいUIは、そのままサービスへの信頼感につながります。
ユーザーのストレスを軽減し、継続利用を促す
直感的に操作できるUIは、ユーザーにストレスを感じさせません。
「使いやすいから、また利用しよう」という動機付けになり、サービスの継続利用(リピート率)を促します。
3. UIデザインとUXデザインの決定的な違い
UIと非常によく似た言葉に「UX」があります。
この2つは密接に関連していますが、意味は明確に異なります。
UX(ユーザーエクスペリエンス)デザインとは?
UXとは「User Experience(ユーザーエクスペリエンス)」の略称で、ユーザー体験と訳されます。
UXデザインとは、ユーザーが製品やサービスを通じて得られる体験全体を設計することです。
例えば、「このECサイトは、商品検索が簡単で、注文もスムーズにでき、すぐに商品が届いて嬉しかった」という一連の感情や体験すべてがUXです。
UIはUXを実現するための手段の一部
UIとUXは密接に関係しており、UIはUXを構成する重要な要素の一つです。
UIはUXを実現するための一部であり、どちらか片方だけでは優れたユーザー体験を成り立たせることはできません。
UX(体験)
例えば、レストランで「美味しい料理と素晴らしい接客で、快適な時間を過ごせた」という入店〜退店までの全ての体験です。
UXはサービス・製品の利用前・利用中・利用後で得られる全ての体験、経験を指します。
UI(接点)
その体験を構成する「清潔な店内」「分かりやすいメニュー」「押しやすい呼び出しボタン」など、ユーザーの接点となる部分を指します。
どれだけ料理が美味しくても(=サービスの中身が良くても)、メニューが分かりにくかったり、店内が不潔だったり(=UIが悪い)すれば、素晴らしい体験(UX)は実現できません。
ビジュアルデザイン、Webデザインとの違い
UIデザインに非常に近いものとして、ビジュアルデザイン、ウェブデザインもあります。
ビジュアルデザイン
主に美しさや魅力といった視覚的な表現や世界観の表現に重点を置きます。
UIデザインも視覚を扱いますが、「使いやすさ・分かりやすさ」という機能的な側面により強く焦点が当たっています。
ウェブデザイン
ウェブサイトの制作全体を指すことが多く、UIデザインの概念に加えて、コーディングやサイト全体の情報設計(IA)など、より広範な領域を含む場合があります。
4. UIデザインの価値(=求められる理由)
優れたUIデザインは、ユーザーのためだけではなく、それを提供するビジネス側にも大きな価値(メリット)をもたらします。
ビジネス成果への貢献
使いやすいUIは、ユーザーの行動をスムーズに導きます。
- ECサイトであれば「購入ボタン」が分かりやすければ、購入完了率(コンバージョン率)が向上します。
- 操作に迷わなければ、ユーザーがサイトから離脱する率(離脱率)が低下します。
このように、UIデザインは売上や業績といったビジネス成果に直接貢献できます。
ブランドイメージの構築
デザインの一貫性が保たれ、使いやすいUIは、そのまま「ユーザーのことをしっかり考えている企業だ」というポジティブなブランドイメージにつながります。
優れたUIは、体験だけでなく企業の信頼性を高める資産となるのです。
ユーザー満足度の向上
ストレスのない操作体験はユーザー満足度を高めます。
満足したユーザーはサービスを繰り返し利用する「顧客ロイヤルティ」の高いユーザーとなり、長期的なビジネスの安定につながります。
5. 優れたUIデザインの「基本原則」
では、使いやすいUIはどのように作られるのでしょうか。
そこにはいくつかの確立された基本原則が存在します。
「ユーザーに考えさせない」はすべての大原則
UIデザインの最も有名な原則の一つが、Webユーザビリティの専門家であるスティーブ・クルーグ氏が提唱した「Don’t make me think.(私に考えさせるな)」です。
ユーザーは、それが「ボタン」なのか「見出し」なのかをいちいち考えたくありません。
一目見て、次に何をすればよいかが直感的に分かる。
これがUIデザインの目指すべきゴールです。
UIデザインの4大原則
考えさせないデザインを実現するために、以下の4つの基本的な原則がよく用いられます。

外部サイトに移動します
近接
関連する情報は、物理的に近づけて配置します。
これにより、ユーザーはそれらがひとつのグループであると無意識に理解できます。
整列
要素を整然と並べます。
左端や中央など、目に見えない「線」を意識して揃えることで、全体に秩序が生まれ、視覚的に安定します。
対比
要素に強弱をつけます。
最も重要な情報(例:見出し、決定ボタン)は、色やサイズを変えて目立たせることで、ユーザーの視線を自然に誘導し、優先順位を伝えます。
反復
同じルールを繰り返し使います。
サイト内のすべての「決定ボタン」が同じ色・形であれば、ユーザーは一度学習するだけで、他のページでも迷わず操作できます。
使いやすさを満たすために欠かせない、ユーザビリティとアクセシビリティ
ユーザビリティ
ユーザビリティは、「使いやすさ」そのものを指します。 国際標準化機構ISOでは以下のように定義されます。
ある製品が、指定された利用者によって、指定された利用の状況下で、指定された目標を達成するために利用される際の有効さ・効率・満足度の度合い。(ISO 9241-11)
有効さ・効率・満足度は以下のように定義されています
- 有効性(Effectiveness): ユーザーが正確に目標を達成できる度合い。
- 効率性(Efficiency): 目標達成までの労力や時間などのコストが低い度合い。
- 満足度(Satisfaction): 使用中に不快感なく、快適に使用できる度合い。
アクセシビリティ
「利用しやすさ」のこと。年齢、身体的な条件、利用環境(例:屋外でスマホを見ている)に関わらず、誰もが情報にアクセスし、利用できることを目指す考え方です。(例:色覚に頼らないデザイン、適切な文字サイズ)
優れたUIデザインは、これら両方の観点を満たしている必要があります。
6. UIデザインの具体的な進め方 (7ステップ)
UIデザインは、感覚的に絵を描く作業ではありません。ユーザーの課題を解決するために、論理的なプロセスに沿って進められます。
- 目的・課題の定義
- まず「誰の、どんな問題を解決するのか」を明確にします。ターゲットユーザーと、そのサービスが提供する価値を定義します。
- ユーザーリサーチ
- ターゲットとなるユーザーにインタビューを行ったり、行動を観察したりします。その結果を「ペルソナ(典型的なユーザー像)」や「カスタマージャーニーマップ(ユーザーの行動と感情の推移)」としてまとめます。
- 情報設計 (IA)
- ユーザーが必要とする情報を整理し、分かりやすく分類・構造化します。Webサイトの「サイトマップ」の作成などがこれにあたります。
- ワイヤーフレーム
- 作成 色や装飾を排除した、画面の「骨格(レイアウト)」設計図を作成します。「どこに何を配置するか」という機能的な配置を決定する重要な工程です。
- プロトタイピング
- ワイヤーフレームに簡単な操作性を加え、実際に動作するモックアップ(試作品)を作成します。これにより、デザインの完成前に操作感を検証できます。
- ユーザーテスト・改善
- 作成したプロトタイプを実際のユーザーに使ってもらい、問題点(「ボタンが見つけにくい」「操作に迷う」など)を洗い出します。このフィードバックを元に、デザインを改善します。
- ビジュアルデザイン
- 最後に、決定したワイヤーフレームに基づき、配色、フォント、アイコンなどをデザインし、最終的なUIを完成させます。
7. UIデザイナーの仕事とは?
ユーザーの操作性、機能性、課題解決に特化した設計を担当する専門職が、UIデザイナーです。
ウェブデザイナーとの違いは、Webデザイナーが「伝える・見せる」ことの比重が大きい場合があるのに対し、UIデザイナーは「使わせる・操作させる」ことの機能的な設計に、より強く特化した専門職であると言えます。
役割と必要なスキル
UIデザイナーの役割は、単に画面を美しく装飾することではなく、プロダクトが持つ機能とユーザーをスムーズにつなぐ操作の設計を行い、「使いやすい」デザインを実現することです。
そのためには、Figmaなどのデザインツールを扱うスキルはもちろん、ユーザーの課題を発見する力、それをデザインで解決する論理的思考力、他の開発メンバーと円滑に連携するコミュニケーション能力などが求められます。
UIデザイナーに必要なスキル
これからのUIデザイナーに必要なスキルを、ハードスキル・ソフトスキル2つの面から考えてみました。
ハードスキル(専門知識・技術)
- デザインツール(Figmaなど):ワイヤーフレームやビジュアルデザインを高速で作成する技術。
- ユーザビリティ・アクセシビリティの知識:4大原則や「誰にとっても使いやすい」設計に関する深い理解。
- 情報設計(IA)のスキル:複雑な情報を整理し、論理的な構造に落とし込む能力。
ソフトスキル(思考力・対人能力)
- 課題発見・解決能力:ユーザーが「なぜ迷うのか」という根本的な原因を見抜き、それを解決する最適なデザインを提案する力。
- 論理的思考力:「なぜこのボタンはこの大きさなのか」「なぜこの配置なのか」を、感覚ではなく論理的に説明できる能力。
- コミュニケーション能力:エンジニア、プロダクトマネージャー、UXデザイナーなど、多様な関係者と円滑に連携し、デザインの意図を正確に伝えて合意形成を図る力。
8. まとめ
UIデザインとは、単なる「見た目」のデザインではなく、ユーザーとサービスをつなぐ「接点」を設計するとても重要な役割をになっています。
ユーザーにストレスを感じさせず、自然に目的達成へと導く。
そしてその結果が、ユーザー満足度の向上、さらにはビジネスの成果やブランド価値の向上にもつながっていくのです。
これからのUIデザイナーは、単なる画面設計者ではなく、ビジネス課題を理解し、ユーザーリサーチに基づき、AIなどの最新技術を活用しながら、最適なユーザー体験(UX)を実現する戦略的パートナーへと進化していく必要があります。
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