「作るだけ」のデザイナーは終焉へ。未来を拓くデザイナーに必要な3つのスキル

UIデザイン
「作るだけ」のデザイナーは終焉へ。未来を拓くデザイナーに必要な3つのスキル

デザイナーの「突然終わるキャリア」という危機

みなさんは今、ご自身のキャリアを意図的に設計できていますか?
「目の前の仕事に打ち込んでいたら、なんとなくキャリアが積み上がっていた」。
そう感じることはありませんか?

実は、私自身も「やりたいこと」を続けた結果としてキャリアが形成されていました。
しかし今、そうした「なんとなくのキャリア」は、ある日突然終わりを告げるかもしれません。
その象徴的な出来事が、Googleのクラウド部門における100人以上のデザイン職のレイオフです。

「デザイナーは不要になったのか?」

このニュースは業界に衝撃を与えましたが、これは感情論で語るべき話ではなく、「価値の重心移動」による戦略的な再編です。
現在、AIは黎明期にあります。 黎明期において、価値の重心は体験価値(UX)よりも、まずは機能を実現する技術先行に置かれます。
この重心移動に伴い、組織編成が変わったと捉えています。

デザイナーという職種自体は、なくならないと考えています。
しかし、「作るだけのデザイナー」の役割は終焉に向かっていく可能性が高いです 。

Change the Designer — 「デザイナー」の殻を破る勇気

では、私たちはどう生き残るべきなのでしょうか?
答えは、「デザイナー」という殻を破り、職能を拡張することです。
幸いなことに、デザインというスキルは「営業」「事業」「経営」といったあらゆる領域と相性が良く、どこにでも溶け込める強力な武器になります。
「それはデザイナーの仕事ではない」という思い込みを捨て、殻を破る勇気を持つことがAI時代の生存戦略となります。

拡張される職能

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デザインのスキルは、他領域へ拡張できます。

営業への拡張

提案ストーリー設計
ユーザーシナリオ作成のスキルを応用し、顧客への提案時における「体験シナリオ」を設計する

真のニーズの構造化
ユーザーインタビューのスキルを活かし、顧客の表面的な言葉ではなく、本質的な課題を聞き出す。

価値の可視化
複雑な価値訴求をビジュアライゼーションで直感的に伝える。

事業への拡張

スピード感のあるプロトタイピング
アイデアを即座に形にできる強みを活かし、新規事業の検証速度を上げる。

事業機会の発見
UXリサーチの視点で、顧客インサイトから新たなビジネスチャンスを見出す。

収益モデルとの整合性
顧客価値だけでなく、ビジネスとして成立するか(収益モデル)をセットで検証する。

経営への拡張

組織のデザイン
プロダクトだけでなく、組織文化や従業員体験(EX)をデザインする。

ビジョンの言語化
企業のビジョンや原理原則を、誰もが理解できる言葉や形に落とし込む。

未来のデザイナーに必要なπ(パイ)型キャリアと3つのスキル

職能を拡張するためには、キャリアモデルの変革も必要です。
かつては、特定の専門分野を狭く深く掘り下げ、周辺知識を持つT型人材が理想とされました。

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しかし、これからはπ(パイ)型モデル求められます。
これは、幅広い知識を土台に、2つ以上の専門分野を持つスタイルです。

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例えば、プロダクトデザインという軸に加え、マーケティングや組織デザインというもう一つの軸を持つイメージです。

そして、このモデルを実現するために不可欠なのが、以下の3つのコアスキルです。

  1. 問いを立てる力
    • 言われた通りに作るのではなく、「本質的な課題は何か?」を問い直す力。
    • 成果を出すための「アウトカム設計」や、時には戦略的な視点で批判を行うことも必要です。
  2. ビジネス・経営に溶け込む力
    • ユーザー価値とKPIの接続: ユーザーの喜びを数値目標(KPI)に紐づける力。
    • コスト意識:KPIを意識することで、「どこまでコスト(お金・時間)をかけるべきか」「どこが譲れないラインか」という判断力が生まれます。
    • デザインの翻訳: デザインの意図や価値を、非デザイナーにも伝わる共通言語へ変換するスキルです。
  3. 組織を動かす力
    • 「場」の設計: 議論や共創が生まれる環境を設計し、ファシリテーションを行う力。
    • 関係者の共通認識を可視化し、組織全体をゴールへ導く「組織のデザイン」そのものです 。

AIを恐れず、役割を再定義する

AIの進化を恐れる必要はありません。
大切なのは、変化を受け入れ、使いこなすことです。
AIは及第点のアウトプットを大量に出力するのが得意です。
スピードが求められるプロトタイプや検証段階ではAI『で』いい場面が増えるでしょう。

しかし、人の心を動かすこだわりや、リリース時の最終的な品質においては、人間の意思が宿るAI『が』いいという領域が必ず残ります。

雑務や効率化できる作業ははAIに任せ、人間はより本質的な思考や熱量を込めるべき部分にリソースを集中させましょう。

Change the Designer!

殻を破り、役割を再定義すること。
本質的な課題に問いを立て、ビジネスや組織の深部にまでコミットできる新しいデザイナー像を自身の手で作っていく時が来ていると私たちは考えます。

株式会社CRUTECHでは、デザインを含めた開発をサービスとして提供しています。
今回ご紹介したように、私たちは単にモノを作るだけではなく、上流の戦略設計からデザイン、そして実装に至るまで、ビジネスの本質的な課題解決を一貫してサポートいたします。
AI時代に即した、価値あるプロダクト開発を共に実現しませんか?